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おそめ [書籍]


おそめ ― 伝説の銀座マダム (石井妙子著。新潮文庫)

昭和の薫りに満ちた一冊。
一気に読み終えた。

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京都の裕福な商家に生まれた主人公が、自らの意思で祇園の芸妓「おそめ」となり人気を極めたが、若くしてすっぱりと芸妓を辞め、木屋町の自宅を改造して小さなバー「おそめ」を開く。
そのバーが文化人(=死語!)に評判となり、彼ら達の後押しで京都中心地に本格的なクラブを開店。
やがてその文化人の後押しで東京・銀座へ進出して、京都と銀座の店を飛行機(昭和30年代の始め、東京〜大阪間の片道運賃が、大卒の一ヶ月の初任給より高い時代!)で往来した伝説の銀座マダム(=死語!)の物語。
表紙を開くと十数枚の写真が載っていて、写っている文化人は、
服部良一、吉井勇、丹羽文雄、川端康成、大佛次郎、小津安二郎、里見淳、白州次郎。
頁を捲ると、目次の章題にあがる名だけでも、門田勲、白洲正子、青山二郎、川口松太郎など。
さらに本文に挙がる名は、数えきれない。
京都と銀座の「おそめ」は、昭和の戦後の高度成長期を象徴したバーだった。

57年間、連れ添った「おそめ」の夫は、映画会社・東映のプロデューサー。
夫の前妻との娘は、映画産業が凋落していく時代に、東映の大看板女優として任侠映画の東映を支えて、後に梨園へ嫁いだ藤純子。

昭和の30年代、40年代の銀座のバー(クラブ)を知る、そして昭和の東映を垣間みる貴重な一冊で、これまでこの本を知らなかったことを恥じた。

文庫本を手に取ったら、頁の真ん中あたりにレシートが挟まっていて、余市駅前の書店のそれであったので、蒸溜所を訪ねた帰りの電車か、バスを待つ間に買った本だ。
電車やバスの待ち時間も、いいものである。

ウィスキー・ドリーム。 [書籍]


ウィスキー・ドリーム ー アイラ島のシングルモルトに賭けた男たち
(白水社、2011年2月15日発行)を、一気に読み終えた。

マーク・レイニヤー、サイモン・コーリンが、マーレー・マクディビッド社を起こし、ジム・マキュワン、アンドルー・グレイ、ジョン・マクタガートと共にブルイックラディ蒸溜所を再建する(のちにポート・シャーロットやオクトモアを復活させる)、大変にスリリングな10年間の物語である。
アルフレッド・バーナードの目を通して見た130年前の蒸溜所の様子も興味深い。
またマーク・レイニヤーがワイナリー・オーナーということを本書で知って、ワイン樽フィニッシュも(好き嫌いは別にして)納得がいった。

ジム・マキュワンが、ボウモアを辞めた経緯も語られている。
1995年、新オーナーの日本企業がジムを世界を股にかけてのボウモア伝導旅行に送り出した。ロシア、オーストラリア、アメリカ、マレーシア、日本 ーー ジムにとって、訪れた土地をすべて列挙するのはひと苦労。訪れなかった土地を挙げるほうが簡単なくらいだ。何千何万マイルもの空の旅は最後には重荷になった。妻や娘たちと離れているのは淋しかった。アイラ島にもどり、ウイスキーづくりにもどり、自分自身の蒸留所を運営するチャンスを拒否できるわけはない。それは極東からきたボウモアの新オーナーをがっかりさせたが、ジムは自分の心がいつもあった場所、蒸留に帰りたかった。ブルイックラディ再開後、人生ははるかに楽になった。

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原題は、
Whisky Dream: WAKING A GIANT (STUART RIVANS with PHOTOGRAPHS BY STRART GREIG, 2008)

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英語版には、ブルイックラディ創設当初のモノクロや再開時のカラーなど、40枚近い写真が掲載されていて、見ているだけで楽しい。

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日本語版では写真がすべて割愛されていて、画龍点睛を欠いているのが(白水社が良心的な出版社なだけに)、たいへん残念だ。
英語版はたいして高くないので、ブルイックラディ好きの人は買う価値あり。

初笑い@志の輔らくご in PARCO 2011。 [芸能]

明けましておめでとうございます!
(遅ればせながら・・・照)

肝臓を虐めながら(笑)、飲み続けた年末年始の休みだった。
「今日は休肝日にするぞ・・・」と、固く思いつつ起床。

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さて、新年の初笑いも例年のとおり、今年で15回目となる「志の輔らくご in PARCO 2011」。
それも一ヶ月公演の初日。
当代の「チケットが取れない噺家」のひとり、よくぞ取れたものだ。

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古典「だくだく」、創作「ガラガラ」、新作「大河への道」の三席に、志の輔ワールドがさく裂。
ネタおろしの「大河への道」は、日本地図を作った伊能忠敬を題材にした60分の大作で、志の輔師匠の代表作のひとつとなりそうだ。

帰り道。
「あっ、そういえば、あの店が今日から開けるから、ご挨拶に行かないとネ」
と休肝日を棚に上げて、飲みに行ってしまった。
実は、前の晩も店主夫婦と一緒に飲んだのにネ。(笑)

最近のウイスキー本の3冊。 [書籍]

毎年この時期になると、出版されるウイスキーのイヤーブック。

Malt Whisky Yearbook 2011

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カラー写真が多く、(読まずに)見ているだけでも楽しい。
統計の類いが充実しているのも、プラス評価。
座右に置いておきたい1冊。


Jim Murray's Whisky Bible 2011

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今年から表紙がポップなデザインに変わった。
下は昨年の表紙。

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黒と赤の極小文字の二色刷り(写真なし)で、中年は「虫眼鏡」がないとつらいな。(笑)


The World Atlas of Whisky

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イヤーブックではないが、アマゾンで偶然に見つけて、即クリック!
著者はあのデイブ・ブルーム氏。
カラー写真満載、320ページの大型本で、ひと月早いクリスマスプレゼントだ!(嬉)
日本の大型本と比べて、安いのも好評価。

ところで、
Yearbook 2011は、スコッチ/アイリッシュ、ジャパニーズ、その他の地域、の順で紹介。
World Atlasは、スコッチ/アイリッシュ、ジャパニーズ、アメリカン、カナディアン、その他の地域。
昨今の日本のウイスキーの高い評価を反映している。

Bibleは、スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズと相も変わらずだ。(笑)

神谷ウイスキー。 [★ヘリオス酒造]

ヘリオスの謎のウイスキーを入手した。

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神谷ウイスキー12年(40%、700ml)。
沖縄の総合酒造会社であるヘリオス酒造が、1999年に台湾で発売したウイスキーだが、現在は終売になっている。
原酒はヘリオス製ではなく、国内のどこかの酒造会社のものらしい。

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KAMIYA WHISKY
Blended from the Finest
Malts Pot Still Distilled and
Aged with 12 years old
Grains in Wood.

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獅子と太陽とピラミッド(に見える?)が描かれた神谷ウイスキーのマーク。
ヘリオスとはギリシャ神話の「太陽神」、なにか関係がある図案なんでしょうか?

味わいは今風の軽く華やかなものでなく、一昔前の重厚な辛口の男の酒という感じで、なかなか美味い。

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台湾語でなく日本語標記のまま。
「なんくるないさー」(直訳すると「なんとかなるさ!」)

下は泡盛古酒、くら SUPER SELECTION(43%、720ml)。
同じ瓶を神谷ウイスキーに流用しており、液面の微妙な高さの違いで内容量を調整していることが分かる。

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2本のラベルの高さに注目!
貼り位置がこんなに違うが、
「なんくるないさー」

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この台詞、実は「なんくるないさー」の前に、
「まくとぅそーけー」という言葉が付いて、
「人として正しいことをしていれば、なんとかなるさ」
という前向きな「なんくるないさー」なのだそうだ。

沖縄でも、本当の意味を知らずに使っている人が多いとか。(笑)

初めまして。 [★ニッカウヰスキー]

麦溜 [Bakrew] と申します。

ハンドルネーム「麦溜」の由来ですが、
ニッカウヰスキー創業者竹鶴政孝氏のご子息で、第二代マスターブレンダ―を務められ、現在は相談役をされている竹鶴威氏が、NIKKA倶楽部メールマガジン「From the Barrel 68号」に、次のようなエピソードを紹介されている。
(抜粋)
戦時中、政孝親父がウイスキーの呼称を「麦溜」にしたらどうか、とラベルまでつくっていた。
当時、敵国の言葉を使ってはいけない、ということで野球の「ストライク」を “よし”、「ボール」を “だめ” と呼んでいたり、米国の地名などを用いた社名は日本語のものに変更させられたりしていた。そのため「ウイスキー」という表記も禁止されるだろうと考えて「麦溜」にしたようである。そうこうしているうちに終戦を迎えたため、わざわざ用意したラベルを使うことはなかった。

戦前、ビールを「麦酒」と漢字標記していたことに倣って、ウイスキーを「麦溜」とされたようだ。
その「麦溜」を、たいへん僭越ながら拝借させていただいた。
好きなウイスキーについて、肩に力を入れずにぼちぼちと書いていきますので、よろしかったらお付き合いください。

(2010年10月以前の拙ブログを、こちらに載せています)

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